自分の本当の気持ちがわからない時に試したいこと

COLUMN / こころのコラム

自分の本当の気持ちが
わからない時に試したいこと

「で、あなたはどうしたいの?」
そう聞かれた瞬間に、頭の中が真っ白になる。何か答えなければと思うのに、出てくるのは「どっちでもいいです」「相手に合わせます」という言葉ばかり。後になって、なぜかぐったり疲れている。

好きなものを聞かれても即答できない。仕事を辞めたいのか続けたいのかもわからない。この人と一緒にいたいのか、ただ離れるのが怖いだけなのかも、はっきりしない。そんなふうに、自分の本当の気持ちだけが霧の向こうにあるように感じることがあります。

これは、感受性が鈍いということでも、意志が弱いということでもありません。むしろ、まわりの気持ちにはよく気づく人ほど、自分の気持ちの置き場所を見失いやすい。ここでは、なぜそうなるのかと、今日から試せる小さな一歩をまとめました。

なぜ「自分の気持ちがわからない」状態になるのか

気持ちは、もともと誰の中にもあります。消えてなくなったわけではなく、感じ取る回路のほうが使われないままになっている、という状態に近いものです。深層心理の視点から見ると、そこにはいくつかの背景があります。

気持ちより先に「正解」を探す癖がついている

「どうしたい?」と問われたとき、多くの人は一瞬で「どう答えるのが正解か」を計算します。相手が望んでいる答え、場が丸くおさまる答え、後で責められない答え。その計算があまりに速いと、自分の感覚が浮かび上がる前に答えが決まってしまいます。

これは、長く続けてきた人ほど自動化されています。子どもの頃に、家の中の空気を読まないと安全でいられなかった。機嫌の変わりやすい人がそばにいた。頑張って結果を出したときだけ認められた。そういう環境では、自分の気持ちを先に出すことより、相手の正解を当てることのほうが役に立ったのです。

感じないでいたほうが、安全だった時期がある

つらい状況にいるとき、心は自分を守るために感情のつまみを絞ります。悲しみや怒りをまともに感じ続けたら、その場に立っていられないからです。これは壊れているのではなく、よくできた防御のしくみです。

ただ、このつまみは「悲しみだけ」を選んで絞ることができません。絞れば、うれしさや楽しさ、やってみたいという気持ちまで一緒に薄くなります。状況が変わり、もう身を守らなくてよくなった後も、つまみが絞られたままになっていることがあります。「わからない」と感じているのは、その名残であることが少なくありません。

感情に名前をつける機会が少なかった

気持ちを言葉にするのは、実は学習によって身につく技術です。「今、悔しかったんだね」「それは寂しかったね」と誰かに言葉を返してもらう経験を重ねることで、自分の中のもやもやに名前がついていきます。

その機会が少なかった場合、大人になっても手持ちの言葉が「疲れた」「イライラする」「なんか嫌」くらいしかない、ということが起こります。感じてはいるのに、名前がないので取り出せない。「わからない」の正体が、実はこれだったという方もいます。

「自分の気持ちがわからない」時に、今日から試せる小さな一歩

いきなり本心を探し当てようとしなくて大丈夫です。霧は、真ん中から晴れるのではなく端から薄くなります。輪郭のはっきりしたところから拾っていくのが確実です。

1. 頭ではなく、体の反応から拾う

気持ちは、言葉になる前に体に出ます。誘いのメッセージを見た瞬間に肩が重くなる。ある人の名前を見ると胃のあたりが硬くなる。逆に、ある予定を思い出すと少し呼吸が深くなる。

体の反応には、忖度がありません。「どう思うか」ではなく「体はどう反応したか」を先に見る。これは今日からできて、しかも一番裏切らない手がかりです。

2.「どちらでもいい」を、いったん疑ってみる

「どちらでもいい」と答えた自分に、こっそりもう一問だけ足してみてください。「じゃあ、コインで決めていい?」。本当にどちらでもいいなら、何も動きません。けれど、片方に決まりかけたときに小さく引っかかるものがあれば、そこに気持ちがあります。

3. 「好き」より先に「嫌」から探す

やりたいことを探すのは難しくても、やりたくないことなら案外はっきり出てきます。避けたい場面、聞きたくない言い方、二度と繰り返したくないやりとり。嫌の輪郭がはっきりするほど、その裏返しとして「本当は大事にしたかったもの」が見えてきます。

4. 書き出す。ただし、正しく書こうとしない

紙でもスマホのメモでもかまいません。誰にも見せない前提で、文章にしようとせず単語のまま並べます。人に読ませる文章にしようとした時点で、また「正解」を探す回路が動き出すからです。

  • 今日、少しでも気が重くなった場面を1つ
  • そのとき体のどこがどうなったか
  • 本当は、どう言ってほしかったか

三行で十分です。これを何日か続けると、自分の中で繰り返し出てくるテーマに気づくことがあります。

5. 「わからない」を、そのまま置いておく

わからない自分を責め始めると、そこからは自己評価の話になってしまい、気持ちはさらに奥に引っ込みます。「今はまだ言葉になっていない」と、ただ置いておく。急かさないことが、結果的にいちばん早い道になります。

それでも輪郭が出てこない時は、ひとりで抱えなくていい

ひとりで探ることには限界があります。自分の気持ちを見つけるには、たいてい「受け取ってくれる誰か」が必要だからです。話しているうちに、口から出た自分の言葉ではじめて「ああ、自分はこう思っていたのか」と気づく。カウンセリングで実際によく起きるのは、そういう瞬間です。

こころカウンセリングでは、答えを用意して差し出すことはしません。あなたの中にあるものを、こちらが先回りして名づけることもしません。表面の出来事から、その下にある本当の気持ちまで、順番に一緒に降りていきます。深く扱いたい方には、深層心理カウンセリング(150分・180分)もご用意しています。こちらは一日にお一人だけ、時間を気にせずじっくり進める枠です。

料金は、通常のカウンセリングが60分8,000円/90分12,000円、深層心理カウンセリングが150分25,000円/180分30,000円(すべて税込)。対面と電話で料金は変わりません。電話カウンセリングは全国どこからでも、通話料無料でお受けいただけます。対面の場所は世田谷区等々力七丁目のプライベートサロン(自由が丘駅から徒歩15分、等々力七丁目バス停から徒歩1分)で、詳しい住所はご予約が確定してからお伝えします。

初めての方は、初めての方へで当日の流れをご確認いただけます。空き状況の確認とご予約はこちらのページから。通常のカウンセリングは開始2時間前まで、深層心理カウンセリングは開始24時間前までお申し込みいただけます。

おわりに

自分の気持ちがわからないというのは、あなたが空っぽだからではありません。長いあいだ、他の誰かの気持ちを優先しなければならなかった、というだけのことです。優先する順番は、これから変えられます。

今日の帰り道に、ひとつだけ。「今、少しほっとしたな」と思う瞬間があったら、それを覚えておいてください。それがもう、あなたの本当の気持ちの一部です。

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